今年読んでよかった漫画

映画も本も音楽もあまり触れなかったから漫画まとめる。

【三代目薬屋久兵衛/ねむようこ】彼女の描く女の子はいつも等身大というか、がんばり屋で乙女でよく働くが頑固で少しだらしないというイメージ。それにちょうどよく少女漫画フィルターがかかるので、20代女子は共感しつつも夢見すぎずときめけるのでは。女の子の仕草姿勢佇まいを描くのが上手なんだよなあ。今回は漢方薬局で働く子が主人公なので、長年漢方薬を飲んでるわたしも興味津々!(専門的な要素はあまりなさそうだけど)ファッションも中華娘、60年代風レトロガール、プードルおねえさんと今までになく個性的で異国感すらあり。それでいて相手の薬草園男子の純情素朴な感じがまたいい~。

【ニューヨークで考え中/近藤聡乃】NY滞在コミックエッセイ。ちゃっかりサイン本を入手した!オール丁寧な手書き文字で絵柄も淡白純和風という感じなのに、舞台がNYという違和感がまずおもしろい。「自分がもし暮らしてもこういうことを思うんじゃないかな~?」というような親しみの持てるエピソードばかりでフフフとなる。「「ふ」はかわいいひらがな」の話が好き。あとは女一人異国の大都会に渡るとはどういう感じなんだろう、と想像すると少し奮い立つものもある。最初と最後で近藤さんの心情の変化も感じ取れて、生活をするというのはこういうことだよなあなんて思ったり。コデック装という造本の仕方で、ページがガバっと開くのも地味に便利。

【BLACK HOLE/チャールズ・バーンズ】初めて買ったアメコミ。アメコミやBDは価格とボリュームから気軽には買えないけど、ジャケと帯(望月ミネタロウ、カネコアツシ羽生生純)を信じて衝動買いしてしまった。ストーリーはドラッグセックスロックンロールとクリーチャーホラーという感じ。薬物描写がたくさん出てきて楽しい。ただやっぱり絵の描き方も台詞回しも日本のものとはテンポが違うから、すぐには慣れなかった。絵をしっかり見ながらじっくりとページをめくるので読むのに何日かかかったはず。白と黒のコントラストが強烈で(トーンなんて貼ってない)頭と目がチカチカバキバキになる。イロモノ漫画として本棚に置いておきたい一冊。

【room share/イシノアヤ】刊行されたのは2012年で、なぜもっと早く読まなかったんだろう!同棲大学生BL!しかもエッチするのにカップルじゃない!!こんなのってずっと探してたやつ!!!これは今まで読んだBLの中で一番好き。カップル日常系が大好物なのでイシノアヤは本当好き。ユニットバスとか散らかった部屋とかお金なくて適当なごはんとか・・・。しかも攻めが雑把でフレンドリーなワンコ系で受けが神経質長髪イケメンネコ系ってクゥ~wたまらんw受け君にセフレがいるところもタマランタマラン。たぶん今年一番繰り返し読んだ。好みは分かれるのだろうけど最高、こういうホモをもっとください。

【MAMA/売野機子】毎回新刊が待ち遠しくてついこの間やっと完結。毎回胸を痛めながら切ない気持ちで読んだ・・・。帯の通りギムナジウム、美少年、才能が開花すると死ぬって設定だけでもう「天才か!」となるのだけど、その設定を隅から隅まで生かした情緒的なストーリーと古臭い正統派少女漫画的な絵がものすごくギュっとする。ノスタルジーな気分になる。クワイアの子たちは全員魅力的で、でもその魅力って寂しくて縋りたくて天使になりたくて、何より愛が欲しい故なのかななんて考えるとまた泣けて・・・。実は最終巻はちょっと物足りなくて「ああこう終わるのか~」という感じでいたら、売野さんが「もっと描きたかった」とおっしゃっていたのでもっと描いてほしかったなあ。短編集も全部購入したのだけど、彼女は自信がなくて寂しくて愛に飢えてる感情の描写が逸品。インナーチャイルドって言葉も使ってたので勉強された方なのかな。余計に共感してしまう。追っていきたい漫画家さん。

 あー書くの楽しかった!久しぶりに高揚したぞ!やっぱりこういうの大好き!漫画に限らず来年もいい作品に出会えることを願って!

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